クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

ぼんやりとした薄暗い部屋で

この日は友人宅に泊めてもらいます。

ひと月前は泊めてもらう予定が、やむにやまれぬ事情から徹夜仕事になってしまったために早朝に落ち合うということになってしまっていたのですが、今回はそうはなりません。夕食からともにすることになっています。古い友人たちに声をかけて集まりました。

 

まだ予定の時間よりもいくらか早かったのですが、まずは私が店に着きました。

ほどなくして、この友人が、やはり予定の時間よりも少し早くやってきました。

大学時代の相棒というような友人なのですが、そういえば、初めて会ったときも、多くの人たちが待ち合わせている駅の前で、やはり予定よりも一足早く着いて待っていた時でした。

 

あと数人来る予定なのですが、待っていないといけないということもないので、先に食べ始めることにしました。友人も私もお酒に強くないので焼き鳥の店で烏龍茶です。

 

焼き鳥とたこわさと鳥皮ポン酢をつまみに烏龍茶をちびちびとやりながら、とりとめのない話をしました。少し後に合流した友人たちから、二人で何の話をしていたのか、と聞かれたけれど、とりとめのない話、というのがもっともふさわしいと思うほど、本当にたいした話はしていません。仕事の状況について聞くわけでもないし、日々の生活について聞くわけでもないし、もちろん社会問題について話し合うわけでもなく、笑いが起きるでもなく、声を荒らげるでもなく、互いに通りにくい声をなんならいつもよりもおとなしい程度に発しながら、淡々と落ち着いて。

 

大学時代、いったいどういう関係性で、どういう感じでやりとりしてたか、良く考えるとあんまりちゃんと覚えていません。たぶん、はしゃいでいたり、真剣に議論したり、馬鹿げたことをしては笑い合い、なにかを一緒に作ったり、なにかを一緒にしきったりしていて、そんな時は私が多少ずれてしまってもそれとなく整えてくれたり、むしろそれがわかっているから私は思い切ってどんどん進んでいけたわけで、感情の起伏はそれなりに激しく、それらをずいぶんと共有してきたと、そう思います。

 

でも今は違います。

 

私の根底にある暗い感じを一から十まで出してもいい相手は限られていて、その数少ない一人がこの友人であることは間違いないのです。

 

その晩、友人宅に泊まり、翌朝は洒落た朝食にコーヒーをいただきました。友人の奥さんはソファーに横になるとうたた寝をしてしまい、また二人の時間になりましたが、ここでもまたおもしろいほどなんにも話をしていません。

私が出発する時間になり、すいませんね、何のお構いもせず、と駅まで車で送ってくれました。いえいえ、どうもありがとうございました、と車を降りました。