クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

ホンモノ

一万円選書という、類い稀なる才能に基づいたサービスがあります。

その人に合わせて一万円分の本を選んでくれる、というサービスです。

 

北海道の小さな書店がもう何年も前にはじめたこのサービスは、何度かメディアに取り上げられたことで広く知られるようになりました。私も3,4年前にテレビで特集していたのを偶然目にして知りました。そのうち使ってみたいと思っていたのですが、気がつけば注文が殺到するようになり、期間を区切って先着順で受け付ける方式に変わっていました。

この前、たまたまそのことを思い出してホームページを開いてみると、その1週間後くらいから受付期間が始まることがわかり、今回は申し込んでみようと意気込んでいました。

1週間と少ししてから、申し込みのためにホームページを見ると、先着順の予定だったところがあまりの人気にサーバーがパンクしたらしく、結局、先着順ではなく、期間内に申し込んだ中から100名程度を抽選で決めるということになっていましたので、一応申し込むことにしました。申込期間が終わり、抽選結果のメールが来ました。当たりました。1400名を超える応募があったそうなので、ずいぶんとラッキーです。

 

当選すると、カルテが送られてきます。そのカルテには、これまでの読書歴、つまり読んだ本とその評価(〇・△・☓)、それから年齢や家族構成、仕事の内容、これまでの人生でうれしかったことや苦しかったこと、その他にも自分にとっての幸せとか、心に決めていることなど、その人の内面に迫るようなことを書いていきます。

その日、仕事を終えた私は、早々とカルテを書き始めました。没頭します。もともと自分のことを見つめなおすのは好きなので、夜更かしして一気に書き上げました。

 

カルテを書いて返送すると、それをもとにおよそ一万円分の本を選んでリストを出してくれます。この時点で読んだことがある本が入っていれば申し出て差し替えてもらうのですが、私の場合は未読のものばかりでしたので、リストの通りお願いしました。

 

1週間ほどで届いた10冊は、私らしいと言えば私らしいのだけれども、書店で並んでいたとしても選び取れるかと言うとあまり自信がないラインナップでした。

 

インターネット通販で買い物をすると、他のおすすめ商品が並びます。関連性の高いもの、その商品を買った人の多くが買っている商品が並んでいるのでしょうけれども、それはどうしたって一見して関連性の高いと分かる商品ばかりが並びます。

一万円選書は、それとはまったく異質のものです。データだけしか見ることのできない機械ではとうてい真似できそうもありません。その人の内部をのぞき見るからこそできる、そして膨大なインプットがあるからこそできる、知識と感性を兼ね備えた非常に高度で温かみのあるサービスです。

 

届いた10冊を眺めながら、こういう仕事ができるようになりたいと思いました。

そして、こういう仕事が溢れる社会になってほしいと思います。