クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

謝らなくていいから納得させて

人には多面性があるものですが、ご多分にもれず、私も同様です。

 

私は基本的な性質はおとなしい方だと思います。しかし、仲間内のイベントごとなどでは必要以上に張り切ってしまう癖があります。なんとか盛り上げようとするエンターテイナー気質と言えば聞こえがいいですが、とにかくそういったものが出張ってきてしまい、それでいてそこまでの実力がないのでどこか違う方向にいってしまって不評を買うのだけれど、その不評も自分では完全な不評ではなく、不評も含めての好評だといいように解釈している節があるため、いつも自然とそうしてしまいます。本質的にはそういうことも好きなのだと思います。大学時代の友人の結婚式となれば、それはもう輪をかけてそうです。仕方がないではないですか。私の友人たちが一堂に会すわけですから。

 

私のテーブルは6人、同期2人と先輩2人と後輩1人というバランスでした。先輩のうちの1人はいわゆる芸術肌でカッコいいのですがどこか抜けているという魅力的な人で、席は私の右隣でした。その隣のもう1人の先輩は人にはまねできない一癖あるボケがうまく、どちらも場をコントロールするタイプではないのですが、それぞれにおもしろい先輩たちです。後輩はボケタイプの先輩の奥さんでもあり、隣に並んで座る先輩を冷たくあしらう芸が堂に入っているとともに豪快な笑いが素晴らしい。同期のひとりは独特な感性で空気を読むことに無頓着な男で、たまに放り込むボケが天然であればあるほどおもしろく、私の左隣に座る同期はとにかく場の空気を読むことに長けており、こちらが気を遣いたくなるほど気を遣いながらその場のすべての物事のバランスをとりたいような女性です。

 

友人たちとの関係性の中でも、たとえば私を育ててくれた先輩である友人たちが3人ほどいて、今回泊めてもらっている私の相方と呼ぶべき友人がいて、あらためて親友と表現すると少し恥ずかしいけれどそういう友人夫妻がいて、それでいてその誰とも同じテーブルにならない配置だったので、座席表を見て少しだけ不安もあったのですが、よく見れば確かにそうだよなという配席でもありました。そんな中で左隣が同期の友人というのは嬉しい配慮で、私の良さを引き出すこともでき、ストッパーにもなれる稀有な存在で、私も心地いいという最高のポジショニングでした。

 

披露宴が始まる前からエンジン全開でそのテーブルに挑んだ私ですが、なんだかんだでまわりの友人たちとわりとスムーズにボケもツッコミも交わし合えたと思います。それで調子に乗ったというわけではないけれど、回転数が高くなりすぎた私に左隣の友人が「落ち着こう」と言い、その絶妙な温度感がまたそのテーブルの笑いを誘った時にはドキッとしました。この手綱の引き方がこの友人の真骨頂です。

 

このテーブルは、少なくとも私にとっては披露宴の間、ずっと楽しかったですし、叶うことならばそのテーブルについたみんなが少なからず楽しかったと思っていてほしいのですが、この一連の私の行動、しゃべり、ボケ、ツッコミを、私は演出と言うことにしました。

 

 

披露宴が終わり、行けるメンバーで簡単な二次会に行きましたが、その終わりがけに新郎新婦が顔を出してくれました。友人である新郎は私がいた側のテーブルに、新婦はもう一方のテーブルにつきましたが、新郎にとっては仲間ばかりのホームで新婦にとってはアウェイでしたので、私も力及ばずながらなんとか盛り上げたい気持ちにかられ、なんとかひとボケひねり出したのですが、その流れの中の最後のアクシデントの方がおもしろくて、これはもうひとボケ重ねられると思ったときにはさらにもうひとボケ重ねられる状況がおこったので、ここぞとばかりにあとふたボケ続けました。もちろんこれも演出です。

 

帰りは行きと同様に相方の車に乗せてもらったのですが、方角が同じだった新郎新婦も駅までの小一時間同乗しました。運転席に相方、助手席に新郎、後部座席は運転席の後ろに私が乗り、相方の奥さんである友人を間にはさみ助手席後ろに新婦という並びでした。相方と奥さんは余興の打ち合わせ等もあり、新婦とは何度か会っていましたが、私はこの日が初対面でしたので、ともすると新婦が楽しめない展開にもなるといけないと思い、逆に言えば新婦と私の絡みがあれば全体として楽しめるだろうと思い、新婦に向けてひたすらに雑なトークを展開しました。そこには相方の奥さんを間にはさんで互いの助け舟にできるという計算があったのですが、きっとそれがなかったら新婦もどうしていいかわからないままだったでしょう。私なりに、初対面の人に気を遣ってしまう気持ちは誰にも負けないほどにわかるつもりです。それゆえの演出なのです。

 

そう、演出なのです。

 

演出が過剰で、まわりがついて来れないときがあるだけです。