クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

29連鎖

私の好きなマンガは、現在連載中のシリーズが史上最も面白いという意見に異論の余地はないはずなのです。さらには年に数回描かれる脇役の読み切りも外れなく実に面白いのです。ですが、このシリーズから読み始めた人にとっても面白いといえるのかどうかは、実際のところよくわからないでいます。

 

このマンガは私が小さいころに一度連載が終わりました。しばらくして、次の世代の物語が始まり、これが長いこと続きました。残念ながら、私にとってはあまり面白いと感じるものではなくなってしまいましたが、それでも読み続けてきました。今思えば、よくぞ耐えたと思います。これを愛と呼ぶのかもしれません。

さて、そんな退屈な連載もいよいよ終わり、さあ次はどうなるかというところで、なんと初めの連載が終わったあとの物語が始まることとなったのです。これには胸が高鳴りましたが、どうしたって面白いと思えなかった次世代の話のあとですから、当然不安もありました。しかし、その不安が杞憂だったと言えるまでにはさほど時間は要りませんでした。

それからもう何年も続いていて、ここまで面白さを維持できることだけでも驚異的なのですが、ますます面白くなっていく展開に私の心も踊りっ放しです。

 

先日、そのマンガを読んだことがない知人に、ふとしたことからその面白さを説明する機会が訪れました。単行本を手に取り、何気なく話題になった場面の説明を始めたのがいけなかったのですが、そこからどんどん話が膨らんでいってしまい、次のページ、次の話、次の巻、時には遡りながら、じっくり説明していくことになってしまったのです。説明する相手は、そのマンガの主人公は知っているけれど、主要な脇役ですら、見たことがあるくらいのレベルでしか知りませんので、当然話の筋やキャラクターの個性もエピソードあるいは関係性も知るわけがないのです。にもかかわらず、私が先輩であったこともあり、(いい迷惑だったと思いますが)文句も言わずに聞いてくれたので、ある意味でいい実験台になってくれました。

 

現在連載中のシリーズから1冊を手に取り、一つのシーンから語り始めたのですが、それがなぜ面白いのかを説明しようとすると、初期の連載時の説明が、時には次世代の話までもが不可欠になってくることに気がつきます。自分で読むときには当然その背景は頭に入っているので、そこまで丁寧に掘り下げて考えながら読まなくても面白いのですが、不思議なもので、説明し出すとこれまで自分で意識していなかったところにまで意識がいくので、面白さが増すばかりでした。これまでも十二分に楽しめていたつもりでいたのですが、これによって、より楽しむことができることに気がついてしまったのです。

 

先日、とあるテレビ番組で、学習方法による定着率のピラミッドが提示されていましたが、それによると、講義ではわずか5%の定着率しかなく、読書でも10%、少し飛ばして、討論で50%、体験だと75%まで上がってくるのですが、他人に教えることは90%と最も高かったのです。経験的にもそれはよく実感できますが、このマンガを説明した数日後にこのピラミッドを見たので、まさにこのことだと、ものの見事に腑に落ちました。

 

そして、私のマンガ講義を受けた知人は、当然ながら5%も定着しているとは到底思えないのでした。