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クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

メープルシロップ

バンクーバーの朝日を観ました。

映画熱が冷める前に、少しばかりの興味があれば観られるタイミングで観られるものを観ておきたいと思いまして、海月姫から1週間も経たないうちに。

 

すごく面白かった、というわけではないのですが、いろんなことに考えを巡らせました。たとえば、カナダで虐げられる日本人という構図のこの作品をカナダ人が観たらどう感じるのだろうかとか、今の日本とアジアの構図とどの程度異なるのだろうかとか、スポーツクラブの存在意義とか、スポーツの持つ力と無力さとか、戦争の愚かしさとか、スポーツが題材なのにあまり熱くならないと思っていたら脚本が女性の方だったからなそれが影響しているのだろうかとか、そんな具合にいろいろとあって、私の性質からするとそういうことについて書くことになるところなのですが、今回ばかりはそうではありません。

 

この映画は私にある種の衝撃を与えました。

映画にしてもテレビドラマにしても私はあまり詳しくないのですが、そんな私でも知っている役者さんがたくさん出演していました。それほど感受性が豊かではない方なので、映画やドラマを見ていても、もちろん演技がうまいと思うことはあっても、グッと惹き込まれたり感情を揺さぶられたりすることは極めて少ないのです。

 

高畑充希という女優さんが主人公の妹役で出演していました。ドラマや映画などにもたくさん出ているようで、しばらく前から存在を認識していてなんとなく気にはなっていたのですが、出演している作品を観ることがなかったのですが、今回はじめてちゃんと観ることになりました。心を奪われました。

 

メインストーリーは主人公を中心とした野球チームの主力5人を軸としていました。そこにあるドラマにはさほど揺れることはありませんでしたが、脇役(とはいえもちろん非常に重要な役割をになっていますが)である高畑充希に物語の序盤で惹き込まれました。

私が演技力がどうのこうのと批評するのもおこがましいのですが、無言の演技から嫌というほど感情がズシズシと伝わってきます。途中、父親に反抗するシーンがありました。それまではとても穏やかで暖かな印象で、あまり多くは話さなかったのですが、そのシーンではその直前の出来事もあってとても感情的になっていました。その振れ幅が、その人にとっていかに重大な出来事であったのかを強烈に訴えかけてきます。しばらくして、大勢の人の前で話し、歌うシーンがありました。実にナチュラルに演じられたこのシーンは、私にとってこの映画のハイライトでもありました。不覚にもつられて少し泣きそうになりました。

ストーリーの力がまったくなかったとは言いませんが、それだけではまず私の感情をそこまで揺らすようなものではありませんでした。明らかに役者の力によるものなのです。このような経験は私には記憶がありません。

 

まだ若いその女優さんの演技に触れることができた、それだけでもこの作品を観てよかったと、私はそう思いました。

何に役立つわけでもないけれど、そこに価値があるのだと、私はそう感じました。