クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

半透明になってみれば

海月姫を観ました。

これが観たくて映画館に行ったわけではなく、年に1,2回訪れる映画を観たい時期に入っていて、とりあえず時間が合いそうな作品の中から選んだだけなんですが、おもしろく観ることができました。漫画原作(現在連載中)の作品なのですが、私は原作を読んでいませんので、原作好きにとってどうだったのかはわかりません。

クラゲオタクである主人公を筆頭に、鉄道オタクや三国志オタクなどのオタクの女性たちと女装した男性を中心に展開される物語です。ストーリーは、よくある、というと語弊があるかもしれませんが、意外性がなく退屈というよりは、起承転結がはっきりしていて、複雑がないために、肩ひじ張らずにあっさりと軽快に観ていられるというものでした。名作として名がのこることはないでしょうが、それを目指してつくられてはいないと思うので、それでいいと思います。

世の中にはオタクが嫌いな人たちも多くいると思います。今ではオタクという言葉自体、最初に登場した時よりはずっと広範囲で使用することが認められるようになっていると思いますが、そういう意味合いでいえば、私はオタク性が高い人に多少なりとも魅力を感じるタイプでして、その点からもこの映画は私に合っていたのかもしれません。

 

知人から借りた科学史の(とてもとても分厚い)本を読み進めている最中ですが、ここに出てくる人たちは、まさにオタク性が極めて高い人たちです。この人たちの残した輝かしい功績は、類まれな知性や天才的な発想はもちろんのこと、呆れるほどの興味や異常なまでの執着によって成し遂げられてきたようにも思います。社会性に乏しかった人もいたことでしょう、人から奇怪な目で見られてきた人もいたことでことしょう、自らの身を犠牲にしてきた人もいたことでしょう、家族や友人を失ってきた人もいたことでしょう、誰にも認められることなく生涯を終えた人もいたことでしょう、すべてがうまくいくなんてことはなく、それどころかほとんどのことがうまくいかなかったとしても、その人たちがオタク性を発揮している瞬間は、(それがどこから湧き上がるものかは人それぞれだとしても)みんな少しは幸せを感じていたのではないかと思います。

 

私の友人たち、とくに仲のいい友人たちを思い浮かべれば、そのほとんどが何かしらのオタク性を持っています。そして、それについて話すときにしばしば現れるその人らしさがとても好きです。もしかするとそれは反対で、誰もがオタク性を持っているものの普段はそれを隠していて、仲のいい友人たちとは互いにそれを垣間見れるくらいの関係性を築けているということなのかもしれません。

科学のように世の中の役に立つと多くの人が認識していることでなくても、あるいは結果として目に見える形に残るようなことでなくても、人それぞれのオタク性を発揮でき、また受容できるほどには豊かになりたいものです。