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クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

どこから来たのか、どこへ行くのか

先日、ふと思い立って、宿場町に行きました。

峠を挟んで両側に宿場町が残っています。

片側からもう一方までは車で15分ほどなのですが、遊歩道もあり、歩くと片道2時間半ほどかかるとのことでした。

少し悩みましたが、帰りはバスを使うことにして、せっかくなので歩いてみました。

 

夏の日差しは強く、10分ほど歩いただけで、果たして歩ききれるのだろうかと不安になります。

昔はこれくらいの道は当たり前のように歩いていたのでしょう。

そして、この峠をわずか15分で越えてしまうという自動車。

歴史の重みを感じます。

 

 

木々は、幹の太さに関わらず、ほとんどが同じ高さにまで、まっすぐにまっすぐに伸びていました。

遊歩道のすぐ脇に生きる気は、少し遊歩道側へせり出しながらも、根がグッと踏ん張り、やはりまっすぐ上へと伸びていくのでした。

いつか太陽に届くだろうと、わき目も振らずに突き進んでいるのでしょうか。

重力に抗うことで、その存在価値を示しているのでしょうか。

 

一本の木のすぐそばに幼木を植え、それらがうまく育っていくと、幼木を巻き込みながら一本の木として育っていくこともあるそうです。合体木と言うそうです。

 

木陰には建物のそれとは比べ物にならないほどの心地よさがありました。

道中にある二つの滝には、落下する水の力強さがありました。


自然、と言っても人の手が多分に入っています。

それでも街中ではとても感じられないほどの力がありました。

 

本当の自然、というものがどんなものなのかはわかりませんが、

本当の自然の力にはかなうわけがないのだろうと思います。

 

 

もうあと10分ほどで反対側の宿場町に着くというところで、一件の旅館を見つけました。その宿の名には聞き覚えがありました。

すぐに思い出しました。

 

少し前に少し関わっていた少年の実家です。

その少年のお父さんには一度お会いしたことがあり、そのときに頂いた名刺にこの宿の名がありました。

おそらく私のことは覚えていないでしょうが、せっかくなのでご挨拶だけでもと思い、寄ってみることにしました。

 

突然訪ねたにも関わらず招き入れてくださり、すっかり話し込んでしまいました。

おばあちゃんが持ってきてくれた五平餅ときゅうりの漬物を頂きながら、気がつけば一時間ほど経っていました。

 

案内図とバスの時刻表、博物館の割引券をいただいて、目的の宿場町へ向かいます。

宿場町をひととおり歩き、甘味処で少し休んでから、博物館を急ぎ足でまわり、バス停へ。


バスを待つ少しの間、博物館の係の方が解説を思い出しながら、当時の人の育ち方や客人のもてなし方に改めて感心していました。

すると、バスが来る直前に、少年のお父さんが車で迎えに来てくださいました。

 


思わぬところで人の優しさ、あたたかさに触れることができました。

人の力にも、かなうものはないのかもしれません。