クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

歩くときほどの空気抵抗

前々回のすももだって食べられるんだから、そして前回のシュートがかったストレートと2回続けて同じ話題となりましたが、今回も合わせて3部作になってしまいました。私の友人の結婚式。

 

 

私は結婚式を挙げたことがありませんので詳しくはわかりませんが、結婚式は儀式的な要素が強く、さほど人によって異なるということはないでしょうが、特に披露宴はおよそ主役の2人がある程度プロデュースする舞台だと思われますので、それなりに2人の色が出るものなのだろうとは思います。

新郎新婦ともに知り合いという組み合わせは多くありませんでしたので、たいがい知り合い側を中心に想像してしまいますが、これまでも随所にその人たちらしい舞台にお目にかかることもしばしばありました。

それでも、これほどまでに「らしい」結婚式そして「らしい」結婚披露宴はありませんでした。

 

 

神前式でした。

 

朝、集合時間の少し前に車を停め神社に向かって歩いているとき、ちょうど正面から二人が歩いてくるのが見えました。

所々で写真撮影をしながら、係りの人に導かれ、ひとまず会館へと向かうところでした。

遠目から見ても、友人が緊張しているのがよくわかります。

少し和むだろうかと思い、ひとまず大げさに手を振ってみました。

大きく振りかえしてくれました。

いつもと違うリアクションは緊張の裏返しなのでしょう。

まだ何も始まっていません。

 

厳かな儀式、友人が動くたび、言葉を発するたびに奇妙に振動する空気が、参集したすべての人たちへ緊張を伝染させるのではないかと心配になります。

そして、そんなことを心配しなければならないことに、ついニヤけてしまう私。

 

滞りなく進行された神前式、よく見れば二人とも和装がとっても似合っていました。

 

しばらく間を置いて、披露宴が始まります。

 

極力出番を減らしたかったのだろうと思います。

演出も最小限にしたかったのでしょう。

その友人とその友人が選んだ相方らしい披露宴となりました。

そうして自分たちらしさが表現されたのかもしれません。

どこまでもシャイな人です。


シャイなのは本人たちだけではありませんでした。

会場に来ている人のうち、実に9割5分はシャイでした。

シャイ率が高いことは予想していましたが、ここまで徹底されると感心してしまいます。

これほどまでに同質の人たちが集まるものなのかというくらいに。

本当に、この人たちのために集まる人らしい人たちばかりでした。

そして、穏やかで平和な家庭を築きたいという二人らしく、とても落ち着いて平和な時間が過ぎていきました。

 

私とその友人、もう一人の友人は、なんで仲良くなったのかも覚えていませんが、この3人は出会って以来、本当にいっつも一緒にいました。

そんな少年期から、随分と長い時間が経ちました。

出会ってからこれまでを振り返り、その関係を示す適切な表現を探そうとしてもなかなか見つかりません。

互いに気兼ねすることもありません。

互いに尊敬しているわけでもありません。

互いに悩みを打ち明けたりすることもありません。

互いに切磋琢磨するわけでもありません。

互いに何を期待するわけでもありません。

一緒になって何かに打ち込むこともありません。

一緒になって感動したりすることもありません。

一緒になって涙することもありません。

あえて言うなら「なんにもない間柄」とでもなるのでしょうか。

私の知る言葉の組み合わせの中では一番正しいかもしれません。

 


披露宴も終わりに近づいてきました。

二人からのお礼の映像が流れます。新婦が手紙を読み、両親に花束を渡し、親族からのあいさつがあり、新郎からのお礼の言葉がありました。

一連のありきたりの流れの中で、何度か少しウルッときてしまったけれど、感動とはまた違う、親心ともまた違う、とっても複雑でシンプルな、えも言われぬ気持ちになりました。

 

友人から発せられた、最小限にして最大限の形式ばった謝辞は、朝と変わらず空気を奇妙に揺らしていました。

もう緊張がこちらに伝染することはありませんでした。

 

二人が退場し、流れるエンドロール。 

出てくる写真を見ながら、こんなに幼いころから一緒にいたんだと気づかされます。

終盤、二人の楽しそうな写真が続きました。

そのほとんどが友人にはおよそ似つかわしくない場所や出来事ばかりでした。

テーマパークの二人、陶芸にいそしむ二人、東京観光する二人、ひまわり畑の二人、

そのシーンのすべてに、二人の、実に素朴で自然な、晴れやかな笑顔がありました。

 

大切なことを思い出しました。

大切なものが増えました。

 

真っ赤なドレスと紺色がかったタキシード、

エンドロールは思いっきり余所行きの写真で締めくくられていました。