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クラブロクラブ

自然な波に乗せられて

シュートがかったストレート

話し終えた瞬間、適度に張られた緊張の糸が、あっという間に、ぶら~んと緩んだのがわかりました。

 

すももだって食べられるんだからの回に書きましたように、私の古くからの友人の結婚式がありました。そこで友人代表のスピーチをさせてもらいました。

 

とっても素敵な式でした。

それはまた別の記事で書くこととしまして、今回はスピーチのお話ということにしましょう。

 

 

スピーチというのは割と早めの出番になりますので、披露宴が近づくにつれて徐々に緊張感が高まってきました。

会場に入ると、もう心臓がとてつもないスピードで動いていることを感じられます。

でも、しばらくするとそれすらもよくわからなくなってきました。

気が付いたらもう名前が呼ばれそうな雰囲気です。

直前、開き直りました。

 

 

小心者の私は前日の夜、大きな不安にかられて、とある友人に電話で相談しました。

偶然にも、その友人も私の出番の翌日に、友人代表スピーチをすることになっていると。

同じく、初めての代表スピーチで不安であると。

この友人とは、ことごとくタイミングが合わないことが多いものですから、ちょっと驚きました。

不思議なもので、人が同じようなことで同じように不安がっていると、こちらの状況には変わりないはずなんですが、少し余裕が出てきまして。

少し気が楽になりました。

 

実は、その相談の前に、もう一人、遠くの友人に電話をしていたのですが、タイミングが悪く、つながりませんでした。

当日の朝にメールが来たので、これこれこういうことでと説明を。

タイミングが悪くて出られなかったのではなく、逆に、こちらのとてもいいタイミングのために出られなかったのだと思いました。

その友人からはこんなことを教えてもらいました。

「自分らしく成功も、自分らしく失敗も喜んでくれる。大事な友人が喜んでくれる、そのこと以外にあなたが話す意味はない。」

そう、私はいろんなことを考えてしまっていたんです。

私は自らスピーチを願い出たこともあり、会場の雰囲気はどうなるだろうか、相手方にも受け入れてもらえるだろうか、両家のご親族に失礼にあたらないだろうか、友人たちには理解されるだろうか、そんなことも含めて、いろんなことに頭が行ってしまっていました。

そんな中でこんなことを言われまして。

ズバリ核心をつかれまして。

それだけでなく、さらにこう後押ししてくれました。

「たとえ空振り三振でも様になる素質のある人だから、あなたは。」

とっても気が楽になりました。

 

披露宴が始まり、そうこうするうちに歓談に入りました。

やがて、係りの方が私のところにやってきます。

もう10分ほどでスピーチになりますのでお願いしますという話だったのですが、

その第一声は「ものすごい笑顔ですね。」と。

あー、そんなに笑顔でしたか。緊張で引きつっていたように思いますが、笑顔と認めて頂けましたか。

なんだ、とっても緊張はしてるけど、やっぱり嬉しいのが出ちゃってたんだなあって。

また少し気が楽になりました。

 

歓談の時間に、友人にはいろんな人が話しかけに来ています。

祝福され、冷やかしもされ、写真も撮られ、笑顔もみられています。

ひとしきりそんな掛け合いが終わり、スピーチまでほんの少しの間がありました。

その少しの間に、ふと友人を見ました。

相も変わらず緊張していました。

昔からそう。

私と同じで、いや、それ以上に人前に立つことが苦手でした。

極端なまでに苦手でした。

それが今回は主役です。

緊張に押しつぶされてペシャンコになるんじゃないかと心配になるほどです。

あー、どこまでそのままなんだろうと。

スッと楽になりました。

 

ちょうどその時、司会者の声がしました。

 

開き直った私は、自分でも不思議なくらい、それなりの緊張感のもと、マイクに向かうことができました。

偶然も必然も含め、いろんなことが重なりました。

 

スムーズに話せたわけではありません。

正しい日本語ばかりではなかったでしょう。

途中、飛ばしてしまった部分もあります。

余計なことを言ってしまったかもしれません。

少しの盛り上がりはあったでしょうか。

もちろん万人受けはしません。

多少はその場が和んだでしょうか。

長くて飽きてしまったかもしれません。

お世辞にも素晴らしいスピーチにはなりませんでした。

それは私自身が一番わかっていることです。

フルスイングがジャストミートしたところでセンターオーバーのツーベースヒット。

セカンドの頭を越えたポテンヒットくらいでしょう。

 

それも含めて、友人に見せられたような気もしています。

少しは変わった私の姿を。

そして、やっぱり変わってない私の姿も。